マイナンバーカードの有効期限が“2つ”あるって、知っていましたか?
ひとつはカードそのもの、もうひとつは中に入っている電子証明書。
この2つの期限を混同してしまうと、気づかないうちに保険証が使えなくなったり、行政手続きで大きな支障をきたしたりするんです。
特に2025年からは、大量のカードが一斉に期限切れを迎える「2025年問題」もあり、混乱は避けられません。
この記事では、マイナンバーカードの2つの有効期限の仕組みや、なぜ分かれているのか、更新しないとどうなるのか…その理由と背景をわかりやすく解説します。
これを読めば、今どんな対応が必要か、自信を持って判断できるようになりますよ。
マイナンバーカード 有効期限 2つの意味と仕組みを徹底解説
マイナンバーカード 有効期限 2つの意味と仕組みについて解説していきます。
①カード本体の有効期限とは
マイナンバーカード本体には、有効期限が設定されています。
この有効期限は「発行日から10回目の誕生日まで」とされており、18歳未満の場合は5年となります。
つまり、成人がカードを取得した場合、おおよそ10年間はそのまま利用できる仕組みです。
ただし、この「10年」という期間は、身分証明書としての信頼性を保つために設定されています。
顔写真が付いているため、長期間使うことで本人確認に支障が出る恐れがあることが背景にあります。
更新時には新たな顔写真を提出し、本人確認も行われます。
とはいえ、このカード本体の有効期限は「電子証明書」とは別物である点が非常に重要です。
「マイナンバーカード=10年有効」と覚えている方も多いのですが、それだけでは不十分なんですよね。
②電子証明書の有効期限とは
マイナンバーカードに内蔵されている電子証明書の有効期限は、発行から5年です。
この電子証明書は、公的個人認証サービス(JPKI)に基づき、暗号化されたデータを含む情報として登録されています。
5年で更新が必要となるのは、「電子署名法」により、暗号の安全性を保つ必要があるからです。
長期間同じ暗号方式を使い続けると、将来的に解読されてしまうリスクが高まります。
また、電子証明書が切れると、マイナポータルへのログイン、行政手続き、確定申告などが行えなくなります。
これにより、思わぬ場面で「使えない!」というトラブルが起きるのです。
しかも、この有効期限はカード券面には表示されておらず、マイナポータルなどで確認しないとわかりません。
それが更新忘れを引き起こす一因にもなっているんですよね。
③有効期限が違う理由と背景
なぜカード本体と電子証明書で有効期限が異なるのか。
それは、カードは「身分証明」、電子証明書は「セキュリティ機能」としての性質が違うからです。
カード本体は物理的なものであり、基本的には本人確認のためのアイテム。
一方で電子証明書は、ネット上の本人確認や電子署名に使われるデジタルな仕組みです。
この性質の違いが、有効期限を分ける理由になっています。
技術的には、5年以上たつと暗号方式が古くなり、セキュリティリスクが高まります。
そのため、電子証明書は5年ごとに新しい暗号で再発行する必要があります。
制度としては合理的なのですが、利用者には分かりづらく、混乱の種にもなっています。
更新しないとどうなる?マイナンバーカードの失効リスク
更新しないとどうなる?マイナンバーカードの失効リスクについて詳しく見ていきましょう。
①保険証として使えなくなるケース
現在、マイナンバーカードは「マイナ保険証」としても使えるようになっています。
しかし、電子証明書が期限切れになると、マイナ保険証としての利用もできなくなってしまいます。
実際に医療機関では、患者が受付で「カードが無効になっています」と告げられるケースが増えています。
とくに高齢者に多く、家族が付き添って病院に来て初めて有効期限切れに気づくことも。
電子証明書の期限が切れても3ヶ月間は保険証として仮使用できる猶予がありますが、その間に更新しないと自動的に「資格確認書」への切り替えになります。
以下は保険証利用の影響についてのまとめです。
このように、更新を忘れると日常の医療アクセスにも支障が出てしまうのです。
②コンビニ交付や行政手続きに支障
電子証明書が切れると、マイナンバーカードの最大のメリットである「コンビニ交付サービス」が使えなくなります。
たとえば、住民票や印鑑登録証明書などの取得が、コンビニではできなくなってしまいます。
また、確定申告や児童手当の申請など、マイナポータル経由で行う手続きも全滅です。
「オンラインでできるから便利!」と思っていた人ほど、電子証明書の有効期限切れによるインパクトは大きいでしょう。
たとえば、こんな風に影響が出ます。
利用できないことが多すぎて、「結局、窓口に行かないとダメじゃん」となってしまうんですよね。
③更新し忘れが招くリアルなトラブル
実際に更新を忘れてトラブルになった例はたくさん報告されています。
たとえば、75歳の男性が母親のマイナ保険証を使おうとしたところ、更新されておらず利用できなかったという事例があります。
また、更新手続きが煩雑で、代理人による申請がスムーズにいかず、10ヶ月も手続きに時間がかかったという報告もあります。
以下は実際のトラブル例のまとめです。
ケース | 内容 |
---|---|
病院で利用不可 | 電子証明書切れにより保険証無効 |
代理申請不可 | 本人確認ができずに手続きNG |
通知見落とし | 通知封書を確認せず期限切れ |
こうした実例を見ると、更新忘れがいかに深刻かがわかりますよね。
なぜ2つの有効期限?混乱の原因と今後の対応策
なぜ2つの有効期限?混乱の原因と今後の対応策について、詳しく解説していきます。
①なぜ電子証明書の有効期限は5年なのか
電子証明書の有効期限が5年とされているのには、明確な理由があります。
それは、暗号技術に関する法律「電子署名法」により、署名に使用する電子証明書は5年を超えてはならないと定められているからです。
この法律は、長期間同じ暗号鍵を使い続けるとセキュリティ上のリスクが高くなることを見越しています。
つまり、技術が進化することで、以前は解読不可能だった暗号も数年後には破られてしまう可能性があるのです。
そのため、暗号化技術の安全性を担保するために、5年ごとの更新が義務づけられているわけです。
また、セキュリティの向上を目的とした仕様変更や新機能の追加も、更新を通じて適用されることがあります。
利用者としては手間に感じるかもしれませんが、安全性を守るためには欠かせないルールなんですよね。
②更新通知が分かりにくい理由
有効期限が近づくと「有効期限通知書」が郵送されますが、これがなかなか気づきにくいという声も多いです。
なぜなら、通知書は他の役所関係の書類と同じようなデザインで届き、見た目に特徴がないのです。
さらに、通知が来るのは「カード本体」と「電子証明書」で別々のタイミングのこともあり、「どっちの期限?」「また来たの?」と混乱してしまう人も。
特に高齢者世帯では、通知自体を開封しなかったり、意味がわからなかったりするケースも珍しくありません。
また、通知書には「更新をしないと使えなくなる」ことがはっきりとは書かれておらず、緊迫感を持ちにくいのも課題です。
こうした点が、更新し忘れによるトラブルを招いているんですよね。
通知の方法についても、紙だけでなく、スマホの通知やメール、アプリによるアラートが求められています。
③将来は統一される?有効期限の一本化検討
現在、国ではマイナンバーカードのシステムそのものを見直す動きが始まっています。
その中で注目されているのが「2つの有効期限を1つに統一する」方向での制度変更です。
たとえば、電子証明書の暗号技術をさらに強化することで、10年間の有効期限を設定できるよう検討が進められています。
もし実現すれば、更新の手間がぐっと減り、利用者の負担は大きく軽減されるでしょう。
ただし、セキュリティとのバランスがあるため、慎重な対応が求められている段階です。
技術的にも法的にもハードルはありますが、今後はより使いやすく、安全な制度へと進化していく可能性があります。
これから新たに取得する人も、すでに利用中の人も、制度の動きには注目しておくと良さそうです。
まとめ
マイナンバーカードには「カード本体」と「電子証明書」という2つの有効期限があります。
それぞれ役割が異なり、更新のタイミングや必要性も違います。
電子証明書は暗号の安全性維持のため、5年ごとの更新が必要とされており、期限切れになるとマイナポータルや保険証としての利用ができなくなってしまいます。
通知はあるものの、気付きにくく、見落としからのトラブルが後を絶ちません。
今後は、2つの有効期限を1つに統一する制度変更も検討されています。
2025年には更新ラッシュが到来するため、今から確認と準備をしておくことが大切です。
詳しくは総務省の公式サイトや、デジタル庁の情報も参考にしてくださいね。